やむを得ないCO2排出にも責任を
COJ:カーボンオフセット対象の商品について教えてください。
新聞の配達の時に使うバイクや車から出るCO2をカーボンオフセットします。新聞の購読料には配達料も含まれています。新聞は新聞
社が制作しますが、配達はわたしたち販売店が行います。その配達も商品の一部と考え、配達部門を担当しているわたしたちがそこに責任を持とうと考えまし
た。
COJ:カーボンオフセット導入のいきさつを教えて下さい。
これまでに販売店では古紙回収の取り組みを続けてきました。販売店によってやり方は違いますが、わたしたちの場合は、高齢の方には
事前に登録いただき、玄関先まで回収に行く、またその収益金を地域の老人会や子供会のために使っていただくなど地域貢献に積極的に取り組んできました。他
にも地域や環境のためになるものはないかと考えて、カーボンオフセットという方法に行き当たり昨年の5月から導入を始めました。
いくつか問い合わせをして検討した結果、COJさんにはすでにたくさんの有名な企業が参加していたという安心感もあり、また対応も丁寧でしたのでCOJさんでカーボンオフセットを、と決めさせていただきました。
社内外の反応はいかがですか?
新聞配達にはどうしてもバイクや車両を使います。以前はオートバイの音やスタンドを立てる音がうるさいといった苦情もありました。
出来る所では電気自転車に配達を切り替えたりもしましたが、かといって配達する10万部の新聞は都市部だけに配るものではありません。山間部や郊外にも配
達します。「バイクや車を使わざるを得ませんが、その代わりにカーボンオフセットという方法でわたしたちにできることを始めました」とお客様にも説明をす
るようになりました。すると、ご理解いただける方からは、非常にいい取り組みだ、そういうことならばこの新聞を購読しよう、といった嬉しい声もあがってい
ます。
社内でも、新しい営業ツールが増えたということもあり、皆の関心も高く積極的に活用しています。訪問営業のときは必ず宣伝しています。カーボンオフセットの認知度はまだそれほどではありませんが、皆さん関心があるようです。
新聞の営業では景品を付けて購読をすすめる、というやり方が一般的ですが、わたしどもでは地域や環境のために、そこにお金を費やす、配慮していきたいとお伝えするようにしています。
地元の新聞だからこそ影響力が
COJ:他に取り組まれている環境活動はありますか。
小さなことではありますが、販売店のトイレの電気の消し忘れを防ぐために、自動でスイッチが消えるようなシステムを導入したり、販
売店の作業所の電気をLED照明に付け替えたりしました。また、販売店の外に風力発電の風車を建てるという試みもしています。これらのことは社内で「やっ
てみようか」と相談して決めてきました。また他の販売所と協力して広島の山に植林などもしています。
わたしたちの扱っている新聞は地方紙です。中央紙と違い非常に地域に密着しています。それだけ地元のみなさんにアピールする力も
持っていると感じます。わたしたちが企業としてできる環境活動を常に地域に示していきたいと考えています。カーボンオフセットについても地元の新聞が取り
組んでいるということは、お客さまにも伝えやすいし、説得力が強いと思います。
伝える役目を忠実に果たす
COJ:お仕事のやりがいはどんなところですか。
先ほどから何度か申し上げていますが、中国新聞は地域密着型です。特に本社のある広島では支持の高い新聞です。少し野球の話しにな
りますが、わたしも含め広島市民にとって広島カープの存在はとても大きなものです。試合に勝った翌日はお客さまも新聞を早く読みたいと、玄関先で待たれた
りしています。販売店の職員たちも「お客さんが待ってるから早く届けないと」といつもより早く出勤し張り切って仕事に取りかかります。
地方紙ならではの、このようなお客さまと嬉しさや喜びを共有できること、ポストを介してお客さまとのふれあいを感じられることが、この仕事をやっていてよかった、と思えるところです。
また、広島は世界でただ一つの被爆都市です。当時の中国新聞社も被爆しました。毎年8月には被爆に関する報道に特に力を入れます。世界で唯一被爆した新聞社として、後世に伝える義務があります。そのために新聞を配達することもわたしたちの使命だと考えています。
COJ:今後やってみたいことはありますか。
環境に配慮することももちろんですが、いま世界的な不況を迎え、またインターネットなどの普及により新聞業界も苦戦を強いられています。なくなりはしないでしょうが、先行きが明るいとも言えない状態です。活字として新聞がどこまで生き残れるかがかかっています。
新聞はみなさまの購読で成り立っていますが、最近では購読料を家計から捻出するのが厳しいという声も聞きます。購読料を現金ではな
く金券などでも払えるような仕組みを導入できないか、と個人的に考えています。読者のみなさまに支えられているのですから、工夫できるところで協力したい
と思っています。
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