説得力を増すために
COJ: カーボンオフセット対象の商品について教えてください。
わたしどもの会社では、展示会やイベントなどで配られる景品や販促品を作っており、
現在約300アイテムの商品を扱っています。その全ての商品にカーボンオフセットをつけ、
一個の商品を販売するごとに2円をカーボンオフセット費用に充てています。
COJ: 導入の経緯について教えてください。
いまはエコロジーの謳われる時代ですので、
わたしたちもできるかぎり製品の素材には環境に配慮したものを利用するなど心がけてきました。
しかし、一方でこういう時代だからこそゴミになるような余計なものはいらない、という世間の考えもあります。
いくらエコグッズを増やしても、そうでない商品もわたしどもは取り扱います。
これでは「環境に配慮しています」と言っても説得力に欠けるのではないか、
という疑問がわきました。そこでCO2削減に直接貢献できるよう、
どの商品にもカーボンオフセットをつけようではないか、ということになったのです。
COJ: COJを選んだ理由はありますか。
COJさんの会員になったのは2009年の3月ですが、
カーボンオフセット導入の検討を始めたのは2008年の秋頃からでした。
インターネットや新聞による情報で当初3社が候補にあがっていました。
内容を比較検討し、また直接担当の方とお話しているうちにCOJさんがもっともグローバル展開していたこと、
また体制に安心感がありましたので決めさせていただきました。
同業他社にも大きな影響を
COJ: 外部の反響はいかがですか。
当時は同業者の方々から「カーボンオフセットについての話を聞きたい」
という問い合わせがかなりありました。
今では同じ業界でもカーボンオフセットを取り入れている会社が増えましたが、
我が社の導入に影響を受けた、というところも少なくないようです。
社内発=処分品をアジアの子供たちに
COJ: 社内で何か変化はありましたか。
社員の環境に対する意識も高くなりました。
カーボンオフセットの取り組みを始めたという点で、
環境に対する企業姿勢のアピールにももちろんなりますが、
同時に自分たちの襟を正す、といった気持ちを持つことができるようになったと思います。
わたしどもの製品はたくさんの在庫を抱えています。
それを処分するときこれまでは産業廃棄物として処分していました。
そのことを憂慮したある女性社員が捨てる以外の方法はないかと探したところ、
発展途上国の子供たちに文房具を送るという活動に行き当たりました。
こうして2008年の12月に第一弾として、社団法人シャンティ国際ボランティア会を通じ、
廃棄される運命だったボールペンが4000本、タイやカンボジアへ寄付されたのです。
2009年の夏には第二弾として、
これもまた廃棄されるはずのTシャツ2000枚がタイとカンボジアに寄付されました。
こうしたアイデアが社内から出たということは、
どうしたら環境に配慮できるのかと社員一人一人が真剣に考えるようになった結果だ、
というようにわたしは見ています。
COJ: 導入にあたり苦労されたことはありますか。
お客様に説明をするとき、カーボンオフセットの仕組みをいかにシンプルにわかりやすく伝えるかに尽力しました。
説明には、一番若手の社員が作成したカーボンオフセットに関する資料などを利用しました。
できれば「いつ、どこで、どのようにカーボン(CO2)がオフセット(相殺)されたか」
という具体的なことがはっきりとわかると、なお説得力を持ってお客様に説明できるし、
また普及啓発にもつながるのではないかと思っています。その辺りはCOJさんに期待しています。
エコグッズ開発にさらに力を
COJ: 他に取り組まれている環境活動はありますか。
商品をいかにエコグッズに近づけるか、開発に努力しています。
例えば、電池を使うものではなくソーラーで動くものを増やす、
間伐材利用した木製ボールペン、皮革の端材を再利用したペンケースやブックマーカーなど、
エコグッズをひとつのカテゴリーとして位置づけています。
ゼロから作るものに関しては、素材選びからエコにこだわりたいと思っています。
日本でもエコカーに人気が集まっていますが、
そうした商品自体がエコ観点ですので使用する販促物もエコを意識したものでないと、と思います。
海外で使われる販促物も、より環境にいいものが求められています。
ヨーロッパではRoHS指令(電気・電子機器に含まれる有害物質規制)がありますし、
中国版のRohSや他国でも同様の規制があります。
いまや環境により良いものづくりが世界の主流になってきているのです。
この流れを絶えず意識した姿勢が必要なのです。
「実はエコなのです」を広めたい
COJ: ご自身がされている活動はありますか。
エコグッズの開発に携わるようになり環境に対する意識が変わったと思います。
買い物でもよりエコなものを選ぶようになったり、自宅の家電にはエコワットをとりつけ、
どれくらい電力を消費したか一目でわかるようにして節電に気をつけています。
このような努力はいいことですが、その代償としてこれまでの生活が不便になってしまったり、
あまりにお金がかかるというものでは一般に普及しないのではないかと思います。
我が社のエコグッズのテーマでもありますが、声高にエコだと主張するだけでなく
「気がつけばエコだった」「実はエコグッズなんです」というさりげない主張をしていきたいと考えています。
デザイン性にもすぐれしかも生活は便利で快適に、なおかつエコでもある、という商品づくりを目指しています。
我が社の商品だけでなく、世の中のすべてのものがこのようなポジティブなエコ方向に向けば、
結果的に全体のゴミが減り環境が良い方に変わっていくのでは、と思っています。
COJ: 今後の課題を教えてください。
カーボンオフセットなどの取り組みも続けながら、どれだけエコなものづくりをできるかが課題です。
また他の企業へもよい影響を与えていける会社になりたいと思います。
わたしどもの製品はいろいろな会社で使われるものです。
商品を通じて環境配慮に対する啓蒙活動をしていきたいと考えています。
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