エコなフリーマーケットさらにプラスのカーボンオフセット
COJ:日産スタジアムではどのようなことが行われているのですか。
日本代表戦・Jリーグをはじめとするサッカー試合やコンサート、フリーマーケットはもちろんですが、
この新横浜地域が活性化するようなイベントなども開催しています。
例えば、市民参加型の駅伝大会やタイムトライアル、自転車耐久レース、
お正月には凧揚げ、5月には市民に呼びかけて集めた、
家に眠っている鯉のぼりをスタジアムに飾ったりですとか、
季節折々の歳時記イベント等を開催しています。
COJ:フリーマーケットにカーボンオフセットを導入したいきさつを教えてください。
日産スタジアムは横浜市と密接に連携をとっていますが、
2008年に横浜市が脱温暖化行動方針を発表、
温室効果ガスの削減に積極的に取り組むという方針を打ち出しました。
日産スタジアムとしても何か貢献できることはないかと様々な方法を考えました。
スタジアム運営ですから商品は持っていませんが多くの方々が集まるイベント会場であり、
コンベンション施設であることから、自主事業で定期的に開催しているフリーマーケットに目をつけました。
日産スタジアムでのフリーマーケットは出店者が車ごと中に入ることができる車出店と手持ち出店があります。
また、フリーマーケットに来場されるお客様も車で来られる方が多くいらっしゃいます。
フリーマーケット自体が不要品を再利用しようとする方々の参加で行われているせっかくのエコ活動なので、
それに関連する車からのCO2排出をどうにかできないか、
ということでカーボンオフセットの導入を決定しました。
COJ様はカーボンオフセットが広まりつつあったころから、小口でも排出権を扱っていましたし、
排出権としては最も信頼度が高い国連認証排出権(CER)をスタンダードとして取り扱っていましたので、
連絡をとらせていただきました。
いま最大限できることとして
COJ:どのようにカーボンオフセットに協力をしているのですか?
フリーマーケット開催時には平均して1日2000台の車が駐車されます。
車一台につき50円のカーボンオフセット協力金をいただくことにしました。
昨年の8月にトライアルを行った後、11月から毎月2回のカーボンオフセットフリーマケットを開始しましたが、
お客様からアンケートをいただき、認知度、CO2排出量等の調査を行いました。
協力金50円という数字は、会場への往復の車の平均走行距離や平均燃費などから
車一台分のCO2排出量約10kgを割り出し、排出権取得への費用として積算算定しました。
来年度もこの設定で継続開催する予定です。
COJ:お客様や社内での反応はどうですか?
多くの方々には賛同を得られています。
額も少ないのでそんなに抵抗を感じられないようです。
でも時々、なぜ払うのか?と言われる方もいらっしゃいます。
そういうお客様は,額の問題ではなく、お金で解決するということに疑問を感じていられるようです。
これは社内でも同じ声があります。
全体としてはCO2排出を減らすための手段なのだから間違っていないが、
ただ、お金で解決しようとすることに抵抗を感じるというものです。
そういう声には「エコ、リサイクルを徹底して行うことが前提ですが、
今できることは他にありますか?」と説得しています。
ゴミ分別や節電など身近でできるエコ活動を行う他、
どうしても出てしまうCO2について実施するカーボンオフセットは脱温暖化対策の最後の手段だと考えています。
この順序についても皆様に伝えたい重要な項目だと思っています。
協力して脱温暖化をめざそう
COJ:エコ事業に関わりご自身も変わられたとお聞きしました。
脱温暖化は草の根活動が最も重要だと思っています。
各家庭での地道な省エネ・エコ活動が大きいのではないでしょうか。
以前はわたしも「部屋はがんがん冷房で冷やして」というタイプだったのですが、
2005年からこのような事業に関わるようになって、
家でも息子に「シャワーは5分」などと言うようになってしまいました。
事務所の室温も冷房は28℃、冬は極力暖房をおさえて寒かったら上着を着る、
というようなスタイルに変わりました。
ただ、無理は長く続かないので、自分のライフスタイルにあったやり方で、
自分らしいスタンダードとして定着することができればいいなあと思っています。
ここに来られる方々にもそうなって欲しいと願っています。
COJ:やっていてよかったなと感じることはありますか。
イベント時にアンケートをお願いしているのですが、
「(カーボンオフセットは)みんなまだ知らないことだけど、
大切なことなので、がんばって広めてください」など励ましの声をかけてくださる方もいらっしゃいます。
草の根的な運動なので、同じ意識を持った方からの応援は本当に嬉しく感じます。
COJ:これからの新しい展開にはどんなことがありますか。
コンサートやイベントの主催者に入場車両に関するカーボンオフセット導入を検討していただこうと呼びかけています。
Jリーグの試合には1試合に約2万6千人が来場するので大きな効果が期待できます。
コンサートでもこういった環境問題に興味を持たれるアーティストが増えていますから、
ぜひ検討していただきたいと日々働きかけています。
アンケート結果から判断すると、まだまだカーボンオフセットの認知度は低いので、
他の脱温暖化対策と合わせて知って、理解していただけるような工夫を加え、
継続して活動していきたい考えています。
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