環境にいい商材をすすめながらリフォーム
COJ:カーボンオフセットを導入した「カーボンオフセット・リフォーム」について教えて下さい。
積水化学工業株式会社のグループ会社であるセキスイファミエス東北は、主にリフォーム部門を担当しています。
今回福島支社では請け負ったリフォーム工事すべてをカーボンオフセット対象にし、
金額に応じて30~50万円以上は1トン、50~100万円が2トン、100万円以上で3トンのオフセットを付けました。
2008年の8月から9月末までカーボンオフセット・リフォームキャンペーンと銘打って実施し、
当初の予定では200トンのオフセットを考えていたのですが好評を博しまして294トン分のオフセットを実施することができました。
リフォームの施工金額に応じてオフセット量が変わりますが、具体的な例を挙げますと例えば、
旧式のエアコンを高効率のエアコンに替えた場合は1トン、エコキュート導入で2トン、
太陽光発電設置の場合は3トンのオフセットになります。
さらにキャンペーン終了後の2008年10月から2009年3月の半年で、
リフォーム工事に伴う電力使用や工事用車両から排出されるCO2も166トンをオフセットしました。
COJ:カーボンオフセット導入のきっかけを教えてください。
もともとセキスイファミエス東北の福島支社では「エコロジカル・リフォーム」というテーマを掲げて、
資材の再利用など環境に配慮したリフォームをしていましたが、
1992年、ブラジルで開かれた環境サミットでのセヴァン・スズキさんのスピーチを通して、
また映画「不都合な真実」を見て「企業は利益追求だけでなく環境のことを真剣に考えないと」と思っていました。
そのころグループの新築部門であるセキスイハイム各社では、
全国で「おひさまハイムキャンペーン」を展開してカーボンオフセットを付与していました。
これに刺激を受け、「ぜひうちでもやってみたい!」と福島支社での導入を決めたのです。
COJさんは積水化学の方ですでにおつきあいがありましたから、
私たちも迷わずCOJさんとご一緒させていただこうと決めました。
COJ:開発の際、ご苦労された点はありますか?
積水化学の新築部門で先にカーボンオフセットが行われていましたが、まだお客様の反応などのデータがありませんでした。
未知数の多い取り組みですから不安はありました。
でもやるからには成功させようと、データを集めシミュレーションを作り説得力を持たせるよう励みました。
世の中の関心が高まっている
COJ:お客様や社内の反応はいかがですか?
先ほども話しましたが、予定していたよりもたくさんの工事を受注したのです。
それだけお客様の環境への関心が高くなったということでしょう。
お客様にアンケートをとったところ、同じ金額なら環境に配慮した商品を選びたいという意見も多く、
こうした取り組みを評価すると答えた方が約9割を占めました。この評価はとてもうれしいものです。
時々、カーボンオフセットを導入することについて、
お金で物事を解決しようとしているのでは、とご質問をいただくことがあります。
本来企業は利益の追求が主な目的のひとつですが、
そこを削ってでも環境貢献したいという気持ちをご理解いただきたいと思います。
もともとカーボンオフセットについては、キャンペーンが終わる9月でいったん終了とする予定でした。
ところが、社内から「こういう良い取り組みは、続けなければ意味がない」という声が数多く上がったことから、続行を決めたのです。
継続の大切さを再認識するとともに、社員の社会貢献意識の篤さに感心しました。
お客様にカーボンオフセット商品をすすめる前に、
まず社員たちでできる限り省エネなどに取り組んでいます。
節電はもちろん、営業車のエコドライブ、リフォームで出る廃棄物のリサイクル活動などできることはすべて行います。
自分たちで環境貢献に努力した上で、
次にお客様のご協力のもとにカーボンオフセットをすすめていくという取り組みの広がりを通じて、
美しい福島、日本、そして地球を次の世代にバトンタッチしたいのです。
そうした企業姿勢を認めていただき、たくさんのお客様とおつきあいできれば、と考えています。
環境にいいメニューをもっと増やしたい
COJ:これからの課題ややっていきたいことがあれば教えて下さい。
行政の後押しがあると大変助かります。
太陽光発電関連の補助制度も復活・拡充していますし、家電エコポイント制度も始まりましたから、
こうした商品をお客様にも提案しやすくなりそうです。
わたしたちの会社の利益のことだけでなく、もっと大きな視点で環境貢献ができます。
カーボンオフセット導入は、これまでずっと続けてきたわたしたちの環境への取り組みのひとつです。
今後も環境にいいメニューをもっと増やしていきたいですね。
脱石油燃料を目指して、いっそうの省エネ化の徹底や自然エネルギーの活用を推奨していきます。
特にいまバイオマスエネルギーに注目していて、ペレットストーブの導入も積極的にすすめています。
それから、これはまだ計画途中ですが、天ぷら油の廃油を集めて燃料に使う取り組みもしてみたいです。
社員が訪問したついでにお客様から回収する、というのが理想です。
この「ついで」がポイントなのです。
わざわざ回収のためだけに自動車を使うのでは、むしろエネルギー消費やCO2排出を増やしてしまいかねませんから。
この4月からはセキスイファミエス九州でも、一部エリアでカーボンオフセットを導入しました。
いろいろな拠点でこのような動きが出れば、情報交換も可能になります。
いいアイデアを出し合うなかで、取り組みに磨きがかかることを期待しています。
|