クールビズにもうひとつのアクションを
COJ:カーボンオフセット対象の商品について教えてください。
2005 年夏、環境省の呼びかけでクールビズが始まりました。オフィスの冷房設定温度が28℃でも涼しくいられるよう、ノーネクタイを推奨したものです。
このクールビズによってメンズシャツの業界が変化しました。
ボタンを外してもだらしなく見えない、ボタンダウンのシャツが爆発的に売れたのです。
我が社もノーネクタイでもだらしなく見えないボタンダウンシャツをはじめ、
さまざまな色柄、素材、デザインのドレスシャツをこれまで手がけてきました。
そのシャツのうちカーボンオフセット対象商品を選び、シャツ一枚あたり1kgのカーボンオフセットを付けて販売しています。
第一弾として2009年の春夏物から始め、第二弾は同じく2009年の秋冬物、第三弾には2010年春夏物を計画しています。
COJ:カーボンオフセット導入のいきさつを教えて下さい。
暑い夏に冷房の設定温度を下げなくても、着ている人ができるだけ涼しく過ごせるよう、汗の吸水や通気性にすぐれた素材を研究した機
能シャツの開発はもちろんのこと、我が社では1994年からシャツの仕上げ整形に使う付属品の材料に再生ペット原料を採用、また95年にはペットボトルか
ら再生されたポリエステルを
使用した素材で、形態安定ドレスシャツを開発したりと、早いうちから環境によいシャツづくりに努めてきました。2008年には、古着回収で集まった繊維製
品から再生したポリエステルによるドレスシャツも開発しました。このような環境に配慮した製品作りは、どの業界でも当たり前のようになってきました。
いまクールビズが始まって5年目になります。
もともとは省エネルギーを念頭において始められた運動です。いまや地球温暖化対策、温室効果ガス削減は全世界が避けて通れない問題です。
そこを消費者の方々に今一度強調する意味をこめ、
CO2削減に積極的に貢献できるカーボンオフセットの考えをクールビズにプラスしてはどうか、と社内に提案したことが導入のきっかけです。
カーボンオフセットに至るまでには
カーボンオフセットを取り入れるまでは試行錯誤を繰り返しました。
はじめはカーボンフットプリントを考えていました。
しかしシャツの場合、原料の生産地や実際にシャツを作る工場のある場所が世界中に点在しています。
製品ごとにそれらを追跡してCO2排出量を提示するのは至難の業です。
また、廃棄の際にもシャツによってポリエステルの配合率が異なるため、CO2排出量の計算が非常に難しく、カーボンフットプリントを表示することは断念しました。
次に考えたのはシャツを販売するときに付いているプラスティックの付属品や、
製品を廃棄したときに出るCO2量をオフセットしようというものです。
しかし、調べてみるとその量が一定でないことや、量が少なすぎるという結果が出てまた悩みました。
COJさんに相談したところ、シャツ一枚につき1kgという定量付加でもできるというお話でしたので、ようやくそのように決めることになったという次第です。
COJさんにはこの件に関し、以前から相談していました。いろいろと親身に教えてくださり信頼感もあって、安心してお任せできると思っていました。
たくさんの人に喜ばれているアクション
COJ:社内外の反応はいかがですか
カーボンオフセットの概念をご存知ない方も多く、理解していただくのが本当に大変でした。
バイヤーのお客様からも「わたしはわかったけれど、消費者の方々にもわかるような説明でないといけないのでは?」といった問題提起をされたこともあります。
そこでシャツを買っていただいたお客様にもわかりやすいように、来年度の商品タグの表には親しみやすくシンプルなコピーを使い、
裏面にカーボンオフセットの簡単な説明を記載することにしました。
また、現代は地球環境に皆が注目している時代でありますから、
このようにカーボンオフセットが付与している商品は、実際に商品を販売する百貨店、小売店様にも喜ばれています。
いま販売している秋冬物も、当初はカーボンオフセットのキャンペーンをしない予定でしたが、
百貨店様の方から、継続してほしいという要望がありそのまま続行することになったのです。
社内でも理解を得るのに時間を要しました。お金の流れなどがわかりにくいといった声が出たり、
意識の違いはありますが継続してアピールしていこうと思っています。
COJ:お仕事のやりがいはどんなところですか。
わたしの仕事は開発担当です。これまでもいろいろな環境配慮型の商品開発に携わってきました。
その商品が展示、発表を経て完成したときもうれしいものですが、
市場でお客様に受け入れられたときがうれしさも一段と大きく、やりがいを感じます。
COJ:今後の課題、やりたいことを教えて下さい。
クールビズが浸透してきたことは喜ばしいことで、これをさらに定着させるべく、
おしゃれでかっこいい、そして着心地もよいシャツを作っていきたいと思っています。
いま、ビジネスの世界も暗いニュースが多いですが、
みなさんがせめてシャツでおしゃれを楽しめるよう努力したいと思っています。
またクールビズの元々の考えである環境配慮をシャツに結びつけて、
消費者の方々にこの考えが広がるよう、地道ではありますが働きかけを続けていきたいと願っています。
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