中学生環境サミットで排出した全てのCO2をオフセット
COJ:「中学生環境サミット」とは、どんなイベントですか?
2008年8月におこなった、四日市市の市制111周年事業の記念行事の1つです。
このサミットには友好都市である天津市、姉妹都市であるロングビーチ市の中高生と四日市市の中学生が集まり、
それぞれが事前に自分たちの街の環境の取り組みを調べ、一緒に環境問題について意見発表をおこないました。
その中で、自分たちの街のことに改めて気づき、環境のことに取り組んでいただくのが狙いです。
COJ:どのようにカーボンオフセットを組み込んだのですか?
3都市の学生が集まるためには他の2都市から来る学生が飛行機に乗らなければならないので、
COJさんのホームページで計算した飛行機でのCO2排出量の総量69トンに、
チラシの印刷や参加者の移動などのその他の場面で排出されるCO2を加え、
さらに環境サミット当日に自動車で来た方には自動車1台あたり100円のカーボンオフセット料金を求めるようにしました。
この合計として70トン分のCO2排出量をオフセットしました。
また、カーボンオフセットの取り組みだけでなく、
参加する学生が少しでもCO2削減に向けた行動ができるように
水筒(タンブラー)を配って使い捨て容器の購入を控えるように呼びかけたり、
風呂敷の包み方教室を実施したりしました。
きっかけは、カーボンオフセット年賀状を見たこと
COJ:日本カーボンオフセット(COJ)のサービスを導入したきっかけを教えてください。
これまでもイベントでグリーン電力などに取り組んでいたのですが
「もっと環境の取り組みを広めるにどうすればいいか」と考えていました。
ちょうどその頃カーボンオフセット年賀を見て、それまでもカーボンオフセットの取り組みは知っていたのですが
「こういう身近なやり方があるんだ」と気づきました。
努力しても減らしきれないCO2を「オフセットする」という考え方を用いて、
一般の方に理解を求めるのは、やり方としてありだと思いました。
これがカーボンオフセットに取り組もうと思ったきっかけです。
プロバイダーさんはたくさんありますが、
ホームページで航空機のCO2排出量が計算できるようになっていてアプローチがしやすかったこと、
カーボンオフセットに関する自治体の集まりなどに代表理事の末吉さんが関わっていらっしゃったこと
などから総合的に判断してCOJさんに決めました。
実際は今年の6月くらいにCOJさんに相談し始めたのですが、丁寧に対応していただき、有益な提案をいただけました。
COJ:カーボンオフセットを導入するにあたって、苦労した点は?
カーボンオフセットは排出権という目に見えないものを対象におこなうので、
それを関係者にうまく説明するのに時間がかかりました。
そんな時はカーボンオフセット年賀を引き合いに出し
「削減したくても削減しきれない分をオフセットする」という主旨を説明しました。
最終的には「環境について取り組むイベントの中で実施するのであれば」と理解を得ることができました。
「環境のためになるなら、いい取り組みだと思う」と好反応
COJ:参加した中学生や環境サミットの来場者のカーボンオフセットへの反応は?
参加した中学生には、カーボンオフセットを知ることで「お金を払えば良い」という意識を持たないように気をつけました。
そのために、まずCO2を減らすことが重要で「ペットボトルではなく水筒やタンブラーを持ち歩く」といったできることを実践して、
それでもどうしても出てしまうCO2についてオフセットをすることを分かってもらうように説明しました。
その思いは伝わったと思います。
ただ、カーボンオフセットの分が金額としていくらになるか、といった部分についてはピンときていないかもしれません。
環境サミット全体としては「思った以上に他の国の状況が分かり、よかった。得難い機会だった」
という感想を各国の中学生からいただきました。
中学生環境サミットに来場した方には、サミット終了後にアンケートをとらせていただきました。
カーボンオフセットについてどういう評価をいただけるかドキドキしていた部分もあったのですが
「環境のためになるなら、いい取り組みだと思う」といったお答えを多くいただき、やってよかったと思いました。
また、今年(2008年)は洞爺湖サミットの関係でマスコミの環境問題への関心が高かったので、
毎日新聞さんなどで私たちのカーボンオフセットを取り上げていただけました。これもよかったです。
COJ:四日市市の職員の反応は?
職員の間では「こういう使い方があるのなら、自分たちの企画でもカーボンオフセットに取り組めばよかった」という反応がありました。
例えば四日市市のマスコットがあるのですが
「マスコットの販売料金にカーボンオフセット料金を組み込むことができた。もう少し早く気がつけばよかった」という声がありました。
今後は皆でもっと意識を共有して、多角的な展開をする可能性がまだまだあると感じています。
結果をしっかり報告し、今後につなげていきたい
COJ:今後の課題、やりたいことはどんなことですか?
まず、カーボンオフセットの取り組みが今後どのように役立つのか、
関わった方に知らせないと次につながらないと思うので、
今回の事業についてご参加いただいた皆様に伝えていく義務があると思っています。
また、カーボンオフセットについては、皆様に浸透していない部分があるので、
今後のイベント等を通じて「まず減らす努力をして、減らす努力をしても減らせない時に、
カーボンオフセットという手段がありますよ」という風に働きかけていきたいです。
また、カーボンオフセットは、今は国を越えた取引で取得した排出権が対象になっていますが、
将来的には地域で排出権が取引できる仕組みができ、
地域の環境と経済の循環のための有効な手段に発展していければ、と思っています。
今後も市民の皆様と協力しながらカーボンオフセットの仕組みを発展させていきたいので、
環境省や自治体、市民の集まりなどに積極的に参加していきたいです。
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